日本文化人類学会公開シンポジウムにてクラウドファンディングの取り組みについて報告します

2017年11月11日に立教大学(東京)で行われる日本文化人類学会公開シンポジウム「明日を拓くエスノグラフィー:混迷の時代の課題発見と解決」に登壇します。

題目は「人類学のマーケティング/マーケティングの人類学:地方創生時代の地方大学における人類学的支援の可能性と限界」です。
難しそうな題目ですが、現在進行中のクラウドファンディングによるジビエソーセージ開発の取り組み事例を紹介しながら、私の専門分野である文化人類学の社会的応用可能性について検討します。

私が勤務しているような地方の大学では、近年、「地域社会の役にたつ」教育研究を行うことが重要な任務とされています。これまでの地方国立大学は、「小さな東大」的な経営方針だったかもしれません。そして少子化の中で「小さな東大」はこれまでほどは必要ない、各大学の存在意義を自分で証明しなさいという要請かもしれません。
そうした中で、大学のカリキュラムも「社会的要請」に対応しようとするものに大きく変化しています。それにはいい面を悪い面があります。良い面は社会の要請に応える教育研究の基盤ができつつあることです。学問もまた社会の中で存在しているものですから、その社会のニーズに目を向けた教育研究の機会が多くなったということ自体は悪いことでもないでしょう。悪い面は「役にたつ」教育研究はともすれば目先の利益ばかりを追い求めることとなり、「基礎研究」に時間と資金を投資することが難しくなっているというところです。

大学の教育研究の現場では、そうした教育と(基礎)研究を二項対立的に捉える風潮があります。教育は、研究できる環境を維持するためのコストであるという考え方です。ただ、私は、教育と研究を二項対立的にしか捉えることができないことは問題だと思っています。なぜなら学問もまた、社会(的な必要性)の中で初めて存在しうるからです。

せっかく縁あって地方の大学に籍を得たこともあり、人類学分野において教育と研究を架橋した新たな教育研究のありかたを模索することに、ここ数年時間をかけてきました。

今回のシンポジウムの登壇者の中では、人類学者として大学に籍を置いているのは私一人だけです。他の分野で人類学的な知見や方法論を活用されている研究者や企業において人類学系な知見や方法論を活用されている方が登壇されます。

そのような中で、私の取り組みを話すとどういう反応をいただけるのか、緊張と同時にとても楽しみにしています!

クラウドファンディング・サイトで募集しているように、このシンポジウムでの発表資料に、支援してくださった方のお名前を掲載させていただく支援コースがあります!現在、9名の方がエントリーしてくださっています!限定30様までですので、どうぞお早めに!

クラウドファンディングサイトはこちらから
https://otsucle.jp/cf/project/revier-jagt.html

日本文化人類学会公開シンポジウム「明日を拓くエスノグラフィー:混迷の時代の課題発見と解決」
主催:日本文化人類学会
共催:立教大学観光学部

日時:2017年11月11日(土)13:00-17:15
会場:立教大学池袋キャンパス5号館3階5322

発表者:
内藤直樹(徳島大学総合科学部准教授)
「人類学のマーケティング/マーケティングの人類学:地方創生時代の地方大学における人類学的支援の可能性と限界」
中谷礼仁(早稲田大学創造理工学部教授)
「千年村プロジェクトとチェックリスト」
鈴木麻美子(株式会社日本総研リサーチコンサルティング部門シニアマネージャー)
「人間中心デザインのためのエスノグラフィックアプローチ」
望主雅子・山本健吾(株式会社リコーSmartVision事業本部)
「企業におけるエスノグラフィーの意義と課題」

コメンテーター:
川田牧人(成城大学文芸学部教授)
趣旨説明・司会:
門田岳久(立教大学観光学部准教授)
ディスカッション進行:
木村周平(筑波大学大学院人文社会系助教)

お知らせカテゴリーの記事