FAO主催ウェビナー「Globally Important Agricultural Heritage Systems and Ecosystem Restoration 」に登壇しました!

1月26日に開催されたFAO主催のウェビナー「Globally Important Agricultural Heritage Systems and Ecosystem Restoration」に内藤直樹先生が登壇いたしました。

“Semi-natural grassland management through the Agricultural Heritage site in Japan”という題目で、
静岡と徳島の農業遺産地域を例に、半自然草原の保全についてのお話をされました。

雑穀は我が子

東祖谷の山奥で、いまでもヤツマタ(シコクビエ)をつくっている農家さん。ただ種を絶やさないことだけを目的に栽培を続けてきた80代のご夫婦にはお子さんがいらっしゃらなかった。「このヤツマタが我が子のようなもの」だという言葉には、説得力があった。

モロコシやヒエは、常温で保存すると数年で発芽率が大幅に落ちてしまう。こうした作物遺伝資源を継承するためには、植え継いでいくことが肝心。この老夫婦の「子供」を次世代に繋ぐことができれば、と思う。「里子」を育ててくれる農家さん、いないかな?

2013年に収穫されたシコクビエの種。少し分けてもらったので来年まいてみようと思う。

2013年に収穫されたシコクビエの種。少し分けてもらったので来年まいてみようと思う。

雑穀の種子は常温で保存すると1-数年で発芽率が落ちる。

雑穀の種子は常温で保存すると1-数年で発芽率が落ちる。

雑穀ビール!

狩猟免許を取ったゼミ生のIさんが試験会場で知り合った方とお会いしました。
徳島市内の企業のCSR的な観点からの鳥獣害対策や地域づくりに関心を持つ方で、有意義なお話ができました。
雑穀ビールが開発できたらいいね、という話で盛り上がりましたが、元ネタは大学院時代に高いほうの学食で売っていたナイルビールです。
http://www.s-coop.net/goods/beer/
ま、こういう活動がちゃんと立ち上がり、つながってゆくのであれば、世界農業遺産が通っても通らなくても良いんですけどね。

徳島県・上勝町で見かけたタカキビ(モロコシ)

徳島県で見かけたタカキビ(モロコシ)

南スーダンのモロコシ酒(アルコール度数は弱い。朝食として利用することもある。マッコリ的な味がして美味)

南スーダンのモロコシ酒(アルコール度数は弱い。朝食として利用することもある。マッコリ的な味がして美味)

南スーダン南部農村で食べられているモロコシ

南スーダン南部農村で食べられているモロコシ

世界農業遺産プレゼン資料提出

世界農業遺産のプレゼンが、9月8日に東京であります。それに先駆け、プレゼン資料を2日に仕上げました。傾斜地農耕システムや雑穀栽培の特徴や、それらを保全する計画(アクションプラン)をザッとまとめました。半徹夜がこたえました。
プレゼン資料作成にあたっても、関係市町村や県、そして地元の方々にたいへんご尽力いただきました。やはり、世界農業遺産は、さまざまな方々のコミットメントが無いと申請することすらできないと再認識しました。

傾斜地農耕システムの概要

傾斜地農耕システムの概要

そばにいるよ!鑑賞

院生のOくんと、自閉症という病とともに生きることのリアリティに向き合い続けた監督の晩年を描いたドキュメンタリー映画「そばにいるよ!~自閉症(オーティズム)と車椅子の監督」を鑑賞しました。
前半は監督の生き様に焦点をあてたメイキング映像風、後半は自閉症の子どもをもつ家族の暮らしを描いたドキュメンタリーになっていました。
Oくんは、自身もしばしば吃音に悩みながらも、吃音者のセルフヘルプグループでのたわいもない会話のやりとりに注目したユニークな卒業論文を執筆しました(興味がある方は、ゼミ生の研究テーマを参照してください)。なかなかよい卒論だったけど、そろそろ他の世界に飛び込んで、自らの経験を相対化したらいいような気がします。
先日のサマーキャンプでお目にかかった方々とも再会し、親切にしていただきました。ありがとうございました。

20140805084343

世界農業遺産アクションプラン

世界農業遺産のプレゼンとアクションプランの策定にむけた会議をしました。
在来農業に新たなアクターを参画させる仕組みづくりが必要なのですが、具体的なアクターや参画の仕方などを詰めていくのは本当に大変な作業ですね。幅広い方々の、さまざまな関与でなりたつ新しい在来農業システムの構築にむけて、あと一ヶ月くらい苦労しそうです(一ヶ月でできたら苦労せんわ!という話もあるが)。

急傾斜畑を俯瞰した写真(つるぎ町)

急傾斜畑を俯瞰した写真(つるぎ町)

もちきび(実の色が黒いです)

もちきび(実の色が黒いです)

地元の農産物直売店では、ハチドウも売っていたりする(東みよし町)

地元の農産物直売店では、ハチドウも売っていたりする(東みよし町)

もちには、タカキビ(モロコシ)入りとコキビ(キビ)入りもある。

もちには、タカキビ(モロコシ)入りとコキビ(キビ)入りもある。

世界農業遺産・視察対応

世界農業遺産登録に関して、いつもお世話になっている農林水産省・中国四国農政局のみなさんの現地査察をご案内しました。それに加えて今回は徳島県の関連職員の方々がたくさん。大人数で東祖谷の集落にお邪魔したので、集落のみなさんが驚いていました。ご迷惑をおかけしました。

つるぎ町を出発時に、手近な地元の商店に入りました。店先のいい場所には、タカキビ、コキビ、ソバが売られています。雑穀食は地域の食文化に根付いています。
その後、東祖谷の雑穀畑やハチドウ(ニホンミツバチの養蜂箱)およびコエグロを裁断する様子を見ていただきました。

【動画】コエグロの草を裁断する様子↓

商店の店先ではフツーに雑穀が売られている

商店の店先ではフツーに雑穀が売られている

刈られたばかりで青々としているコエグロ

刈られたばかりで青々としているコエグロ

草を運搬する様子

草を運搬する様子

オシギリという道具で草を裁断して畑にまく

オシギリという道具で草を裁断して畑にまく

徳島県自閉症協会サマーキャンプin牟岐

心理学の先生方にお誘いいただき、徳島県自閉症協会さんが毎年運営されているサマーキャンプin牟岐に参加させていただきました。

目的は、昨年美波町・阿部集落の方々と学生とで開発した、津波災害時の避難支援器具を、自閉症用にローカライズすることです。それは緊急支援の現場にみられる、いつでも・どこでも使える支援器具(ユニバーサルな支援器具)開発という思想から、特定の文脈で有効な支援器具(ローカルな支援器具)開発という思想への転換です。つまり阿部の文脈にあわせてローカライズされたものを、自閉症という別の文脈に再ローカライズする作業をします。

夜に遊びを兼ねて支援器具の使い心地をモニターしてもらいました。
それはもちろん有意義だったけど、一泊二日で自閉症協会のみなさんと生活できたことがとても刺激になりました。コミュニケーションについて、そして支援のあり方について考えさせられました。

サマーキャンプの様子
http://d.hatena.ne.jp/tokusima80/

阿部ローカルモデルのテスト風景(2013)

阿部ローカルモデルのテスト風景(2013)

雑穀畑の贈り物

祖谷の雑穀をつくっているのは、いい感じのおじいさん、おばあさんたちでした。商業的には成功とはいえないけれど、生物多様性の維持に知らずに貢献している。つい忘れてしまうのですが、人間は生物としての身体を備えた存在ゆえの限界と特徴がある。生態人類学ことわざ−人はパンのみにて生きるにあらず。されどパン無くして生きることかなわず−。さー明日は何を食べて生きようか? No food No life!

みなさん、種をくださいという図々しいお願いに対して優しく応えてくださいました。ありがとうございます!いただいた種は、来年の春に試験区をつくって植えてみようと思います。広げよう四国山地の雑穀の輪!

製粉したシコクビエはウガリ(東アフリカでよく食べられている練り粥)、キビとヒエはゴハンにして、実習のときにでも食べようかしら?

アワの種

アワの種

脱穀したヒエ(左)、ヒエの種(中央、右)

脱穀したヒエ(左)、ヒエの種(中央、右)

脱穀したキビ(左)、キビの種(右の3つ)

脱穀したキビ(左)、キビの種(右の3つ)

シコクビエの種(左)、製粉したシコクビエ(右)

シコクビエの種(左)、製粉したシコクビエ(右)