いろいろ言いましたが、オープンゼミはみなさんを排除する手段として実施しているのではありません。
みなさんが関心のある学問分野、興味のある先生やゼミの仲間と、これから2年間勉強するために視野を拡げていただこうと思って実施している制度です。
ですから、みなさんにはぜひ、いろいろなゼミを見学した上で、所属するゼミを決めてほしいと思っています。
その過程で、できる限り相談には乗りますので、気軽に連絡してください。
内藤ゼミの雰囲気ですが…「地の先へ 知の奥へ」という国立民族学博物館の標語がわかりやすいでしょう。
必要あれば「地の果て」にでも行きます。私の研究室で徳島県の最僻地でのプロジェクトを抱えていることが多いのは、その(ほんのちょっとした)あらわれです。
私自身がアフリカやアジアの農村部に行くのも、そうする必要があるからです。
では、私たちは、なぜ必要に応じてどこにでも行かなければならないのでしょうか?
人類学の目的は、人類あるいはその価値観・認識・慣習・行動に関する普遍的な発見へたどり着くことにあるからです。
ところが人類という生き物は、集団によって行動や価値観が実に多様です。このような生物は他にありません。
それゆえ、人類のさまざまな文化の有様について理解することが重要なのです。
ただ、フィールドワーカーが人類に関する普遍的な知にたどり着くための材料は、自分の「見たもの」だけではありません。
それと同じ物事についての、人類の様々なあり方についての「比較」をおこなう材料が必要です。
それが文献に書かれている他の民族誌です。だから、文献もたくさん読むことになるでしょう。
「世界」を自分の目で見て(行き先が日本かどうかは問題ではない)、考え、行動したいという方はすこし興味を持ってくれたら有り難いです。