クラウドファンディングについて思うこと

ジビエ商品による持続可能な野生生物の補全・管理システムの構築を目指して50万円の資金を社会から集めて事業をおこなうという研究費の獲得方法、私は面白いと思っています。これを学生が主体的におこなうというのは素晴らしい!

ところで、われわれ研究者の多くは科学研究費補助金という、「税金」をいただき研究をすすめています。
もちろん厳しい審査があり、採択率も25-30%と厳しいものですので、そのなかで質の低い研究は淘汰されているのだと思います。とはいえ、日本の科学技術政策は基礎研究を軽視する傾向が続き、我々も困り果てているのは事実です。

ですが、そもそも「税金」とは何か?ということを考えてみれば、一人や少人数では実現不可能な公共性の高いニーズを満たすために、国というシステムを作り、合意にもとづき税金を支払い、それを原資にそのシステムをまわすということかと思います(もちろんいつの間にか、国は所与のものになり、税金も合意なき徴収・使用になったりしますが)。

つぎに学問ですが、我々のなかに基礎研究ということで成果を問われなかったことあぐらをかいている方がいるのも事実です。ですが学問の世界も社会から隔絶された聖域などではありません。人類学や社会学といった学問分野は、近代以降の新たな社会的要請のなかで生まれましたし、逆に力を失い消えていった学問分野もあります。

社会から直接研究資金をいただくということクラウドファンディングの取り組みは、学問と社会の関係についての原点に立ち返って考える機会という意味で、自分にとって新鮮でした。

学生さんらのチャレンジ、みなさまに応援していただければ幸いです!
https://otsucle.jp/cf/project/revier-jagt.html