文化人類学会公開シンポのお知らせ/「野生生物と社会」学会ご報告

11/3-5日に帯広畜産大学にて開催された第23回野生生物と社会学会にてポスター発表をさせていただきました。
「銀の匙」の映画のロケ地にもなった憧れの大学での開催ということで、いろいろな意味で楽しみでした。

演題は「大学生主体のクラウドファンディングによる鳥獣害対策」ということで、そもそもまだクラウドファンディングの募集期間が終わってはいませんが、中間報告をさせていただきました。

生態学や生物学関連の研究者や実務家の方が中心ですが、人文社会科学系の視点や方法論にもとづき、野生生物のマネジメントに関わる問題に貢献できる人材が求められていることを感じました。非常に有益な出会いもあり、実に有意義な時間を過ごしました。

以下はポスターの写真です。

内容の一部を説明します。
昨今の国立大学に対する運営交付金削減への窮余の策として、徳島大学はクラウドファンディングの仕組みを整備しました。
大学病院の経営をモデルに、「ものづくり」と呼ばれる工学系研究成果の具体化とそれによる資金獲得を念頭にしています。
それゆえでしょうか、文系学部の総合科学部からはこれまで申請が無かったので、この機会に実施した次第です。
ただ、実施してみましたが、基礎研究資金の獲得手段としてはあまり有望では無いと思います。

ですが、新たな社会問題を構築するためのツールとしては、一定の重要性があるように思っています。今回の場合は、地域の鳥獣害問題に多くの学生や地域の方そして市民を巻き込み、資金提供という形で「参加」していただくきっかけになったという意味です。

この話題は、11月11に立教大学で開催される文化人類学会公開シンポジウム「明日を拓くエスノグラフィ:混迷の時代の課題発見と解決」にて詳しくご報告させていただこうと思います。現代社会の中で人類学的な知識やスキルのどこが、どのように利用・期待されており、それれに対してどのように応えうるのか?考える機会になればと思います。
エスノグラフィという人類学のお家芸は、近年では企業におけるマーケティングの手法として取り入れられつつあります。そこでエスノグラフィは「異文化に関する報告書」としてではなく、ものづくりの消費者の価値観や行動を知るため手段として用いられています。また、私が関わっている大学における人類学教育実践においてもこの点は同様です。たしかに学生たちは卒業論文で古典的な民族誌を書きはしますが、彼ら自身が民族誌家になるわけではありません。大学で教鞭をとる人類学者の「商売」が、学生というクライアントに対して人類学的な知識や方法論を教示することであるとすれば、彼らのアウトプットは学生が書いた論文というよりも学生自身であると言えるかも知れません。

私自身も、大学における人類学教育において、具体的にどのような知識やスキルが、社会のいかなる場面でどのように「役にたつ」のかについて、試行錯誤を繰り返しています。
エスノグラフィがマーケティングやデザインにどのように活用できるのか、学部教育の中で人類学的知見の何をどのように「切り売り」すればいいのか等について関心のある方、ぜひ一緒に考えていただければ幸いです。
会場にてお待ちしております。

日時:2017年11月11日 13:00-18:00
場所:立教大学 池袋キャンパス 5号館3階5322
http://www.rikkyo.ac.jp/events/2017/11/mknpps0000006htr.html

学生によるシカ肉ソーセージの開発プロジェクトも、あと5日を残すのみになりました!
ビジネスによる持続可能な野生鳥獣マネジメント体制づくりプロジェクトに、ぜひご参加ください!
https://otsucle.jp/cf/project/revier-jagt.html

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