『社会的包摂/排除の人類学』がとりあげられました

以下の学術雑誌にて、とりあげていただきました。
ありがとうございました。

【資料紹介】
『アフリカレポート』53、2015
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Africa/053.html

【研究動向】
「分野別研究動向(差別)」、『社会学評論』64(4)、2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/64/4/64_711/_pdf

【2013年度学会回顧と展望】
「貧困・公的扶助部門」、『社会福祉学』55(3)、2014
http://ci.nii.ac.jp/els/110009900527.pdf?id=ART0010431492&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1457319471&cp=

拙編著『社会的包摂/排除の人類学』が朝日新聞読書欄で紹介されました

今回の記事では、日本に定住している難民の日常生活に焦点をあてた章について言及していただきました。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12045853.html

シリア難民の流入でヨーロッパが大きく揺れ動いてることなどを受けて難民問題に注目が集まっています。UNHCRによれば、2014年末の時点で全世界で5,950万人が避難を余儀なくされています。このうちUNHCRの支援対象となっている難民は、過去20年間で最大の1,440万人となっています。「難民」として支援の対象となることは、こうした人びとの困難が終わることを必ずしも意味しません。むしろ彼らは、庇護国においてまた別の困難に立ち向かわざるを得ない状況にあります。

本書では、様々なタイプの「他者」が生かされる/生きるさまざまな場に焦点をあてています。具体的には難民キャンプ・先住民定住地・開発モデル地域・障害者福祉施設・児童福祉施設などの現場です。これらの現場は、これまで国家による公権力が貫徹した空間であると考えられてきましたが、新自由主義的な政策展開の中で国家の役割が民営化されたり、個人の「自己決定」が尊重されたりするなかで脱領域化するとともに、そのありかたを大きく変えつつあります。しかしながら、それらの空間において人びとが公権力や市場と切結びながらおこなっている、生きる場を創るための営みを比較検討してみると、それぞれの状況における困難は驚くほど似通っていました。開発・難民支援・福祉という、一見すると異なる領域のなかに、現代社会の中で困難を抱えた人間として生きていく/そうした人びととともに暮らすためにおこなわれている諸実践を検討し、その特性を見出そうとしています。

社会的包摂/排除の人類学

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先住民、難民、移民、障害者、ホームレス……。さまざまな現場で社会的に排除された人たち。彼らを社会的に包摂するための支援。その包摂が新たな排除を生み出すというパラドックス。
遠い世界のどこでもない、いま私たちの足下で何が起こっているのか?

  • 著者:内藤 直樹 編, 山北 輝裕 編
  • 出版年月日:2014/02/25
  • ISBN:9784812213414
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目次

序 章 「社会的排除/包摂」現象への人類学的アプローチ(内藤直樹)

第Ⅰ部 開発――弱者がつくられるフィールド

第1章 ケニア牧畜民の伝統社会は開発から逃れられるか(内藤直樹)
第2章 エチオピア牧畜民に大規模開発は何をもたらすのか(佐川 徹)
第3章 ボツワナの狩猟採集民は「先住民」になることで何を得たのか(丸山淳子)
第4章 オーストラリア先住民の「暴力」といかにつきあうか(飯嶋秀治)

第Ⅱ部 難民――グローバリゼーションと国籍

第5章 アフリカの難民収容施設に出口はあるのか(中山裕美)
第6章 アンゴラ定住難民の生存戦略は持続可能か(村尾るみこ)
第7章 在日インドシナ定住難民の「彼らなりの暮らし」はどう保たれているか(岩佐光広)
第8章 第三国定住難民と私たちとの接点はどこにあるのか(久保忠行)

第Ⅲ部 福祉――私たちは「隣りにいる他者」といかに生きるか

第9章 ホームレス状態から地域社会への移行において何が問われているのか(北川由紀彦)
第10章 野宿者の日常的包摂は可能か(山北輝裕)
第11章 精神障害者の世界は受け入れられるか(間宮郁子)
第12章 脱施設化は新の解放を意味するのか(有薗真代)

終 章 開発/難民/福祉の横断を終えて(山北輝裕)

メディアのフィールドワーク 〜アフリカとケータイの未来

20150915

  • 著者/編集:羽渕一代, 内藤直樹, 岩佐 光広
  • 発売日:2012年09月
  • 出版社:北樹出版
  • ISBN:9784779303487
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目次

Introduction アフリカのケータイをフィールドワークする

1.アフリカのグローバリゼーションとケータイ
2.本書のアプローチ
3.メディアのフィールドワーク
*コラム1:数字からみるアフリカのケータイ事情
*コラム2:へき地へ「つながり」を提供するグラミン銀行のヴィレッジフォン

第1章 現代日本社会をケニアで考えるということ
    ーケータイの利用をフィールドワークする
1.現代を再考する
2.トゥルカナへ
3.M-PESAの衝撃
4.近代の貧困へ
5.互助関係に接合するメディア
6.互助的人間関係の基盤の上に
7.個人化の果て

第2章 道路をバイパスしていく電波
     ーマダガスカルで展開するもうひとつのメディア史
1.衛星電話の衝撃
2.1990年代の電話事情
3.村落部の状況ー2009年頃まで
4.2010年のケータイ革命
5.個人にとってのモバイル機能
6.地政学的な変化
*コラム3:南アフリカケータイ旅行ーはじめてのフィールドワーク

第3章 農村の若者集団とケータイ
     ー社会とメディアの個人化について考える
1.はじめにーラジカセからケータイへ
2.K村におけるケータイの利用状況
3.マリンケ社会における「若者」
4.子どものトンの増加による年齢組織の再編
5.ケータイを用いた大人との集団交渉
6.おわりにーなぜ個人化しないのか?
*コラム4:都市の若者達の社会関係を映すケータイ利用

第4章 ザンビア農村における女性のくらしとケータイ
1.農村におけるケータイの普及ートンガのM村を事例に
2.都市短期訪問
3.村でケータイを利用する
4.情報通信技術とジェンダー
*コラム5:レジリアンスとセーフティネット

第5章 ナミビア農村部におけるケータイの普及と経済活動の空間的拡大
1.ナミビアのケータイ事情
2.地方農村部における急速な普及と利用
3.経済活動の空間的な広がりー農村部の視点から
4.都市域から農村部への救済活動の拡大
5.おわりにー救済活動の空間的な広がり
*コラム6:ビジネスチャンスの拡大と生業の持続

第6章 森に入ったケータイー平等社会のゆくえ
1.狩猟採集民ピグミーの社会
2.ピグミー社会の変容
3.ガボンのケータイ事情
4.村落部の状況
5.調査地域における変化
6.平等社会のゆくえ

第7章 呪術化するケータイ
1.ケータイと呪術ー現代アフリカのふたつの現象
2.現代的現象としての呪術
3.ケータイと呪術の交錯するところ
4.呪術化するケータイに目を向けることの意義
*コラム7:ヘルスケアにおける情報通信の活用

第8章 紛争と平和をもたらすケータイ
     ー東アフリカ牧畜社会の事例
1.はじめに
2.急速に普及するケータイ
3.死を招くケータイ番号
4.ケータイと紛争
5.おわりに
*コラム8:「アラブの春」とソーシャルメディア

第9章 カネとケータイが結ぶつながり
     ーケニアの難民によるモバイルマネー利用
1.人をつなぐふたつのメディアーおカネとケータイ
2.モバイルマネーサービスと難民
3.「檻のない牢獄」を超えてーケニア・ダダーブ難民キャンプ
4.メディアを介した居場所づくり
*コラム9:ホストと調和して生きる
       ーアフリカの自主的定着難民によるケータイ利用

第10章 ケータイが切りひらく狩猟採集社会のあらたな展開
     ーボツワナにおける遠隔地へのケータイ普及がもたらしたもの
1.カラハリ砂漠でもケータイ
2.遠隔地にケータイが届くまで
3.コエンシャケネにおけるケータイの利用実態
4.ケータイが切りひらくあらたな展開

Conclusion グローバル社会のメディア研究
1.国際社会を前提とするメディア研究
2.グローバル化する社会とは何か
3.中間集団とメディア研究
おわりに